劇団はぐるま座

山陽小野田市 第12回アートのたまてばこ

                        『原子雲の下からあなたへ』を上演

                                                                          2025.3.2

 山陽小野田市の芸術家を中心とした「アーティストBOX」(倉田竹峰会長)の会員による『第12回アートのたまてばこ』(令和六年度山陽小野田市主催文化事業)が2月27日(木)から3月2日(日)まで不二輸送機ホールで開催され、500名を超える人々が参観した。

 この事業は、長年にわたってアジアやヨーロッパの芸術家との交流にも尽力されてきた山陽小野田市書道連盟会長・倉田竹峰氏が、海外ではジャンルの異なる文化人同士が広い視野を持って交流し、文化を通じて街づくりに貢献している姿勢に心を動かされたことを契機として、地元の芸術家の連携を呼びかけたところ、多くの賛同を得て2010年度に始められた。「文化とは自分のためではなく街づくりのため、多くの人のためにあるべきものだ」「文化を通じて街おこしに貢献しよう」と、今年も市内外の芸術家や文化団体が手を取り合って精力的な準備活動と会場設営が進められ、さまざまなジャンルの熱のこもった作品展示やステージイベントがおこなわれた。最終日の二日には、悪天候にもかかわらず例年を大幅に上回る200名以上の入場者を迎えるなか、劇団はぐるま座が戦後80年を記念して朗読劇『原子雲の下からあなたへ――峠三吉と子どもの詩』を上演した。

 

 会場となった不二輸送機ホールでは、書道(花陽会・恵和書道会・筍会)、絵画(絵を楽しむ会・工房「翼」)、陶芸(工房「翼」・佐々木啓子)、創作人形(大田富美枝)、さげもん(出合さげもん教室)、いけばな(柴山流厚狭支部)、フラワーアレンジメント(フラワーサークル蘭)の皆さんによる作品展示とともに、三月二日には茶道裏千家淡交会藤永宗里社中によるお茶席が設けられた他、会員や市民から要望の強かったお弁当販売などの営業もおこなわれ、昼食時のロビーは楽しみながら感想を語り合う人々で賑わった。

 

 今回上演した朗読劇『原子雲の下からあなたへ』は、昨年の「第11回アートのたまてばこ」でも上演され、「口を開けば涙が溢れそうで、言葉に出来ないほどだった」「今もウクライナやガザで戦争が続くなか、若い世代や子どもたちに戦争や原爆を伝えることは非常に良いことだ」「目をそむけてはいけない。中学生以上の若い人たちにぜひ見せたい」など、観劇した方々から熱い反響が寄せられた。

 今年は戦後80年の節目にあたることもあり、「あの舞台はとても良かった。思い出すだけでも涙が出てくる。ぜひ上演して欲しい」と、会員の方々からも再演が歓迎された。限られた時間内に多くの出演団体があるなかで、この舞台の上演時間が約50分と、他団体の演目より長いという問題もあったが「広島の子どもたちの書いた詩など、一字一句削ることは出来ないと思う。ぜひフルバージョンで上演して欲しい」との声をいただき、会員の皆さんのご厚意により、フルバージョンでの上演が実現した。

 ウクライナ戦争の勃発から3年が経過し、パレスチナ・ガザ地区をめぐって恒久的な平和の実現を求める国際世論が日増しに大きなものとなっているなか、開幕と同時に厳粛な静寂に包まれた客席では、多くの人々が身じろぎもせず、涙を拭いながら観劇した。

 

 高齢者の方からは「小学生のころ住んでいた防府市では、三田尻の駅から防府天満宮へ続く道に、さまざまな戦地から復員してきた白衣の傷痍軍人が、片足で松葉杖をついて立っていた。さぞかしご苦労されたことだろう。終戦の時は、二歳だったので戦争そのものの記憶はないが、舞台では年譜を追って描かれていたので、あの戦争の背景も非常にわかりやすかった。今という時期に、とても大切なことだし、意識改革が必要だ。若い人たちにもぜひ観てもらいたい」「毎日のようにいろいろなニュースが飛び込んできて、胸が痛い。今は戦争や平和について、一人一人が真剣に考えないといけない時代になっている。素晴らしい舞台だった」などの声が寄せられたのをはじめ、山口市で『雷電』公演をとりくみ、奇兵隊士に米俵を届ける農民役で賛助出演した畑山静江さんからは「皆さんの熱い朗読平和メッセージに心から魂を揺さぶられましたよ。大切なご活動かと敬意を表します。佐伯さん(故人)も陰からきっと応援していると感じてます。戦争を何より憎み、平和を希求してましたから」とのメッセージが寄せられた。

 また、市内の30代の男性(公務員)からは「戦争というテーマは、私たちにとって非常に重く、そして決して忘れてはならない歴史的な出来事であり、その詩一つ一つが心に深く響き、観客一人ひとりに平和の尊さと戦争の悲惨さを改めて考えさせられる内容でした。また、皆さまの真摯な朗読は、詩のなかに込められた痛みを繊細に表現されており、息をのむ瞬間が何度もありました。このような重要なテーマに真摯に向き合い、心を揺さぶる朗読劇を提供してくださった貴劇団の皆様に、心から感謝申し上げます。今後も、貴劇団の公演を通じて多くの人々に平和のメッセージが届けられることを期待しております」とのメッセージが寄せられた。

 

会場となった不二輸送機ホールのホワイエ

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