2015年11月7日(土)①14:00 ②18:30
下関生涯学習プラザ・海のホール
11月7日(土)下関市生涯学習プラザ・海のホールで、『戦争の真実と平和の魂を現代の若者たちにー礒永秀雄の詩と童話』下関公演が開催されました。
公演の取り組みは、戦後70年たった日本で集団的自衛権行使の容認、安保法制など再び強まる戦争の足音に対して日本中で戦争反対の世論が噴き上がるなかで、文化の力で戦争反対、真実を伝える力を強くしていこうと論議されながら市内各地に広がりました。
当日の会場には足元の悪いなか、未就学児から90代の戦争体験者まで世代をこえて、自治会関係者、商店主、文化関係者、教師、青少年指導者、PTA関係者、主婦、僧侶、農漁業者など幅広い各界市民が来場し、県内各地や九州、関西、遠くは愛知県からも駆けつける方もあり、「明日から新しく歩み続けることができる」「感動の連続。現実のきな臭い世相と立ち向かう勇気をもらった」と、底深い感動を共有するものとなりました。
はじめに、開演に先立って海原三勇実行委員長(元下関市PTA連合会副会長)が挨拶に立ち、五二名の実行委員と共にとりくみ、児童クラブや小学校などでの礒永童話の紙芝居をはじめ、さまざまな場でPRがおこなわれ、自治会からもポスター掲示やチラシ回覧がされるなど多くの市民の力で公演が準備されてきたことを紹介。そして、「この度の公演が子どもたちの教育にとってきわめて大きな意義を持つことは、まっとうな生き方に自信を持たせてきたというこの間の経験からはっきりいえること」であり、「文化関係者のなかでも劇団の活動のあり方が歓迎され、下関の文化活動をつなげる役割を果たしてほしいと要望が出されている」と語りました。また「これを機にはぐるま座が下関を拠点に発信の地にすることを期待するとともに、人民に奉仕する劇団として一層深く市民と結びつき、文化運動の発展と青少年の育成、地域の活性化に役立つ劇団として奮闘することを願う」と力強く挨拶。
期待が高まるなか開幕。波の音とともに音楽が流れて幕が上がると客席は舞台にひきこまれ、詩劇『修羅街挽歌』では、戦争から帰った礒永秀雄が亡くなった戦友と対話する場面や出征兵士の帰りを待ち続ける乙女の姿に客席から時折すすり泣きがもれ、厳粛で真剣な空気に包まれました。会場は客席と舞台が一体となって進行し、「十年目の秋に」「ゲンシュク」「虎」「ただいま臨終!」の礒永の詩の世界が共有されていきました。第二部は童話から始まり、大型ペープサート『鬼の子の角のお話』では客席から共感の笑いが起こり、詩「一かつぎの水」、方言詩「野良の弁」では温かな雰囲気が広がりました。朗読劇『とけた青鬼』では村人を助けて溶けていく青鬼に対する深い感動がしみわたり、最後の詩「夜が明ける」で幕が下り始めると、会場全体に大きな拍手が鳴り響きました。
終演後のロビーでは、劇団員と握手を交わしながら次次に感想を語る人人や、談笑し合う姿が続きました。
ここに当日寄せられたアンケートの一部をご紹介します。
アンケートより
▼迫力のある声と音響で、動きのない朗読劇とは思えない感動を受けました。心の中では想像力の羽で飛び廻ることができ、色々な場面が浮かんで来ました。「一かつぎの水」と「鬼の子の角のお話」は、困っている人に対する思いやりや分かち合う気持ちを伝える作品として、子どもにも大人にも心に響くと思います。少人数からでも、熱い気持ち、平和への祈りは伝わり大きくなっていくことを信じさせて下さり、ありがとうございます。お一人お一人が高杉晋作です。 (56歳・女性)
▼さすがプロの朗読! 圧倒されました。「とけた青鬼」は音読だけで風景、人々の動きが目に浮かんできました。第一部では、戦争の悲惨な体験からの恨みのようなつぶやき叫びが響いてきたが、時を経て第二部の童話では、それらが昇華され、愛、優しさ、平和への祈りを感じることができました。これからもご活躍をお祈りします。ありがとうございました。(52歳・中学校教師・男性)
▼1部の重さ? と2部の童話、全然違ったのが良かったです。役者さんの表現力のすごさに圧倒されました。戦争に行く恋人とのやりとりの言葉がとても辛かったです。泣けました。後ろの席の人も泣いていたのではと感じました。子どもが「児童クラブではぐるま座の紙芝居をしてもらって楽しかった」というので今回観ることができました。(無記名)
▼ちぎれるほどにふった旗。10歳の私はうたった事あります。悲しいうたです。何もわからずうたったと思います。二度とあんな悲しいうた、うたわない日本でありますように祈ります。(女性)
▼礒永秀雄氏が戦争から生き残って帰られ、青春をかえせ、これから何をすればよいかと考えられる場面はよかったと思う。そして詩人として生きて亡くなった人へささげようと決心した、その人となりがわかる、とてもよい舞台でした。第二部の童話は童心に返れました。「修羅街挽歌」の中の戦死した人のいう死にきれないという言葉。戦争でなくなった人のことはよく偲びますが、戦争で生き残った人の苦悩は考えたことがなく、劇中で主人公が悩み苦しんでいる様子で残された生き残った人の苦悩がよくわかりました。詩は「十年目の秋に」が印象的でした。「夜が明ける」希望のもてる良い詩でした。夢は見るものでなくて皆で作るもの。戦後七〇年の節目、よい舞台をみられました。礒永氏のことはあまり知りませんでした。これからも郷土の知られざる人のことを御紹介下さいませ。(73歳・主婦)
▼今、戦争の事を知らない私達にとって、とても身になる舞台でした。「鬼の子の角の話」は舞台構成が人形劇みたくユニークで子どもが喜んでいたので良かったです。(印章に残った場面)・「鬼の子の角の話」、鹿が鬼夫婦の所に来た場面、牛が来た場面、鬼の話はとても子供が喜んでいたので私としても有難く感じています。・「ゲンシュク」 (無記名)
▼「民族の美風」と誰かが言っていた。まさしくその通りだと思う。礒永の童話もそうだが詩がすばらしい。感動の連続、それは現実のきなくさい世相とたちむかう勇気をもらった。今後、子どもたち、若者たちの心の中に「美風」を育むために、ますますのご活躍を期待します。 (無記名)
▼全体的には力強く迫力がありました。朗読は初めて。動きがないだけに耳や頭脳が働きました。イメージがわきます。スタッフの皆様が一生懸命なのが伝わり、後半もとてもたのしく、優しい気持ちになりました。応援してます。演出、声に力強く…バックの絵…等もとてもスバラシカッタですヨ。顔の表情なども良かったです。(60代・無職・女性)
▼「鬼の子の角のお話」と「とけた青鬼」が印象に残りました。現在童話を聞く事が少なくなり、人の情が欠けているので、この場面は良かったです。親が子を思う心、人との助け合いなどがとても良かったです。礒永先生の詩、沢山残されて、ひきつづけている事、感銘しました。(無記名)
▼昔の事を思い出します。今の生活に満足していてよいのだろうかと思いつつ生活していましたので、何か心に響くものがありました。「臨終」の中に一つ好きな言葉があった。(無記名)
▼ひさしぶりに心に水を与えることができた。明日から新しく歩み続けることができる。俺達はまだ死にきれない。多くの人々がそうなんだろうとつくづく思う。地域の宝である頑張られたい。(無記名)
▼一言入魂ともいえる、一瞬一瞬の発声、表現、そして集中力に圧巻されました。さすがプロの演技力! 大変勉強になりました。ありがとうございました。(大分県別府市・51歳・男性)
▼いろいろな人がいる。声を考えていた。おにの子の角が楽しかった。とけた青おにが感動した。村にすんでいる人のためにたたかってたおしてくれた 。(9歳・小学生・女子)
▼こころにのこったのはとけたあおおにです。てんぐおにとあおおにとすもうをしてあおおにがつよかったです。
(6歳・小学生・男子)
▼ぶたいはとても広いし、みやすかったです。またきたいと思いました。「とけた青鬼」がとてもおもしろかった。鬼はかならずこわくないことがわかった。人のいのちのたいせつさがわかりました。ありがとうございました。みんな協力してやっていました。
(11歳・小学生・男子)
▼こえがすごい。すべていい。きんちょうするのにぜんぜんきんちょうしてない。ぜんぶ。シカさんたちはおにのつのがはえないけどともだちおもいとおもいます。あおおには人をたすけるためにまもったのですごいとおもいます。 (9歳・小学生・女子)
▼すべていい。おにの親がじん社にいって動物がねがっていておにの子にあまもりではえてくるのがすごい。全部すべてすごい! みんながまけたけど青おにがかったところがすごい。みんなをたすけたところがすごい。えがいい。(10歳・小学生・女子)
▼本日の舞台で礒永作品が今の世の中に投げかけているものを感じます。作品にふれるたびに礒永さんの生き方、思いが大好きになり、まだまだ学びたいと思います。子どもたちに礒永の心を伝え、育てていくことが自分にできることだと強く決意させられました。何かあるたびクラスの子ども達と〝馬新さんみたいに〟と話し、馬新さんのような生き方を私も子ども達もめざしています。 (小学校教師・女性)
▼礒永さんの生き方に心を打たれました。熱いものを心にいただきました。「立て修羅」。本日は素敵な公演をありがとうございます。(中学校教師・男性)
▼同じ年代の青春を過ごし、力強さの中に感無量、涙が止まりませんでした。 (91歳)
▼戦争体験者がだんだん少なくなっていく昨今、想像し難い悲惨な戦争体験も日々風化されつつあります。この悲惨な戦争を未来迄語り続けなければなりません。これは戦争体験者の任務だと思います(因みに私は戦争体験者です)。鬼にも親心と云うものがありますね。とても面白かったです。(女性)
▼想像と全く違った舞台にそれこそ「ゲンシュク」を感じました。「私は詩人になる」「大切なこと野草を抜き続けること」「恒久の平和」初めて礒永さんという方を知りました。このような公演のあることをもっと多くの方に知らせてください。(74歳・女性)
▼劇団員の「礒永秀雄の詩と童話」に取り組む真剣さ、まっすぐな気持ちに大いに感動しました。維新、原爆、礒永と続く取り組みから、私は本当の平和をつかみとることの重要さ、必要さを感じとりました。全国で元気よく活躍してほしい。
(北九州市・会社員・60歳・男性)
▼礒永さんのことは全く知らなかった。今日舞台を拝見して、「こんなに本音で書いている詩人がいたのか…」とびっくりした。「十年目の秋に」は、特に心に響いて涙が止まらなかった。天皇に向かって本心を伝えることが、どれだけ大変な時代であったか。勇気を持って訴えている本物の言葉が胸につきささりました。(印象に残ったのは)「十年目の秋に」、「修羅街挽歌」、「夢は見るものではなく作るもの」、「一かつぎの水」。明日への活力をもらえます! ありがとう。(大分県佐伯市・38歳・女性)
▼地味な舞台構成であるが演技の迫力のある美しい日本語の言葉に圧倒される思いで鑑賞させて戴いた。「ゲンシュク」の場面が印象に残る。鬼の角の話も良かった。実行委員長さんのご挨拶が大変良かった。これからの活動に自信になると思います。 (無記名)
▼音響効果、舞台美術もすばらしいです。戦争で殺されていったものの死にきれないという深い思いが迫るようでした。「修羅街挽歌」しかりですが、「十年目の秋に」に打たれました。「ただいま臨終」の緊張感、しっかりと体に打ち込まないと! 礒永の戦争を潜り抜けた詩精神が現代の若者の中によみがえっていくということが、ひしひしと伝わってきました。 (60代)
▼礒永秀雄が亡くなられてもこうしてはぐるま座によって詩、童話が受け継がれている意義深いものがある。「鬼の子の角のお話」はリアルな表現大変よかったです。「とけた青鬼」も迫力があってよかったです。「ただいま臨終!」迫力あってよかった。(無記名)
▼very very good back music等。心にしみる人形劇。古惚けたこの私の頭、胸、心にひびき、与えられ。平和、人は何故生きるのか、生きればよいのか。最大の尊重されるべきは人間の個々人の持てる力。その尊厳性を忘れることなく決して生命を傷つけること相ならぬ。許すベからずの徹底。人間とは何かを深く考えさせられる朗読劇でした。有難うございました。益々のご発展を。 (82歳・男性)
▼一部より 時代を追って戦後生まれの私には、深い感激を覚えました。「ただいま臨終」〝一瞬の連続〟、「一〇年目の秋に」〝天皇〟への思い等。「野良の弁」とても温かい方言がとても良かった! 若い人達に是非みていただきたい! (無記名)
▼どの舞台も色が違いすばらしかったです。九一歳で亡くなった父を思い出しました。おばあさんの方言をなつかしく思い出しました。「とけた青鬼」(が印象に残った)。応援いたします。(無記名)
▼今日、「戦争法制」に見られるように憲法を無視し、国民を無視。国会を無視する政府自民党、安倍政府を許せません。この公演を全国に発信して戦争を許さない全国民世論の総大力を発揮できるエネルギーとなるでしょう。第二部を孫に見せたかった。部活があって参加できませんでした。 (無記名)
▼優しさと厳しさを感じました。戦後七〇年を迎え忘れてはならない事の多くを、私達は平和へのあり方を実行していかなくてはならないと感じました。「野良の弁」は微笑ましさと現代の社会を考えさせられました。(64歳・女性)
▼下関実行委員長の海原三勇氏のごあいさつに身の引きしまる思いで聞き、下関に来たことを喜んでいます。舞台を最大限に使い、音響も一段と工夫をこらし、さすが事の始まりの下関だと感嘆致します。「修羅街挽歌」の一生懸命が心にしみ通り、山口では感じなかったすごさに真正面から向き合い礒永先生のすごさを演ずる団員のみなさんに頭が下がりました。みなさまどうか健康に気をつけてがんばって下さい。遠くなりますが一生懸命応致します。 (85歳・女性・山口市)
▼ひとつの詩、ひとつの言葉が人生を左右する場面があることをこの舞台から学ぶことができました。「修羅街挽歌」がやはり迫力がありました。礒永さんの原点がこの作品に凝縮されていると思います。(64歳・男性)
歴史動かす民衆の姿に感動―大阪7月公演
(2015年7月)
クレオ大阪南(7/9) 大阪市立こども文化センター(7/11)
『動けば雷電の如く』大阪公演が、7月に平野区のクレオ大阪南(9日)、西区のこども文化センター(11日)で開催された。会場には、町内会役員、女性会、老人会など地域のために活動する人人をはじめ、小中高校生や大学生、教師、会社員、主婦、労働者、文化関係者、寺院、武道関係者、経営者など各界各層がそれぞれ誘い合って参加した。また大阪府内をはじめ、兵庫、京都、奈良などから駆けつける人もあり、熱気ある公演となった。
開演に先立って実行委員の藤村彰宏氏(高校教師)が、「大阪公演実行委員会はさまざまな職種、立場、意見の異なるものが集い、劇の内容への理解を深め、公演の意義について論議してきた。この劇は幕末の歴史のなかで最も重要な部分をとり出し、教科書や歴史書では知ることのできない、庶民の思いを凝縮して劇中に盛り込んでいる。今現在、この時を生きている意味を考え、先人の苦労と努力に思いを馳せ、その輝かしい業績を自信を持って受けとめてほしい」と、力強く挨拶した。
幕が上がると、客席は農民たちの会話や高杉晋作が白石正一郎に奇兵隊結成を呼びかける場面など、一言一言に集中して見入り、高杉が「男なら」を踊る場面では親子連れから手拍子が起こった。そして、舞台終盤になるにつれて客席と舞台が一体となり、各場ごとに共感の拍手が沸き起こった。戦場に米俵を農民たちが運んでくる場面では涙を拭う姿が見られ、高杉晋作が享年二九歳であったことが告げられる場面では驚きと惜しむ声が聞かれた。終演後にはロビーに見送りに出た俳優と熱い握手を交わし、立ち去りがたく会場をあとにする人人の列が続いた。
こども文化センターの終演後にはロビーで感想交流会が開催され、高校演劇部の生徒たち、大学生、高校教師、労働者、文化関係者などが参加した。
若い世代も強い共感
高校生は、「演技の力強さに心を打たれた。舞台背景なども立体的で引き込まれた」「迫力ある舞台に感動した」など口口に語り、男子大学生は、「司馬遼太郎の書物では、伊藤博文や井上聞多が主人公で描かれるが、高杉晋作を主人公に、さらに民衆の側からの歴史という新しい視点を見せてもらった」と話した。
高校の社会科教師の男性は、「学校で生徒たちには、歴史は教科書に載っている英雄が動かしてきたのではなく、その時代を生きてきた民衆によって動かされてきたことをかねてから伝えてきた。舞台を観て、高杉晋作は教科書にも載っているが、彼はほかのいわゆる“英雄”ではなく、真の英雄であったと思うし、民衆のリーダーであったと思った」と語った。別の教師は、「歴史上の年号や史実、一般に知られる書物に残っているものはごく断片であり、この舞台にはその裏づけとなる民衆の生活や感情などが丁寧に描かれている。これだけのことを舞台にするには相当なことだったと思うが、まさに時代がどのように動いていったのか説得力を持って重厚に表されている。大変な時代である現代とも重なって、観るたびに新たな感動をもらう」とのべた。
また40代の労働者は、「歴史を民衆の視点で描いていて気持ちがこもっていた。民衆一人一人が団結したら、このように変えていけるのだと活力をもらった。労働者として、安保法案が動いているときに、この舞台を観られてよかった。今後の自分たちの行動につなげていきたい」と話した。
7月公演のとりくみは集団的自衛権の行使を可能にする安保関連法案をめぐる危惧と問題意識の高まりと呼応して、自治会を通じたポスター掲示がどこも快諾され、食事サービス、ふれあい喫茶、百歳体操、町会会議での紙芝居を使った内容紹介が瞬く間に36回も決められていくなど、人人の問題意識と響き合って作品のテーマが持ち込まれていきました。
小学校の授業で紙芝居と奇兵隊隊則『諭示』の群読がされ、いきいき学童へも広がって青少年への働きかけが進められ、労働者のなかでも「今の戦争政治に立ち向う為にも時宜を得た作品であり、みんなの力で大成功させていこう」と語り合われ、生コン関係の労働者が職場から誘い合って参加する動きとなった。
各所の紙芝居の前段で、今の戦争情勢を打ち破る力になる作品であることに強い共感が寄せられ、世直しと独立を成し遂げていった奇兵隊士の姿と、現代の情勢のなかでどう生きるのかというテーマが響き合い、また四月公演を観劇した人人の感想や意見がさらに多くの人人を結びつけて波及し、そのうち女性会では西区、阿倍野区、此花区から誘い合って観劇するなど、一つのうねりとなっていった。
□アンケートより
▼役者さん皆さんの声が勇ましく心まで届いてくるようでした。白石役の方が高杉から一策を聞いた時の手のふるえなど細部まで表現されていたと思いました。高杉の勇敢さがとてもよく表れていたと思いました。そして高杉が動かした市民の心。命をかけて戦った勇ましさ。本当に良かったと思います。僕も現代の奇兵隊に入りたいです。暗殺されるかもしれず、小屋に身をひそめているシーンが印象に残りました。そんな時でも、しっかりと前を見据えていた高杉がかっこ良かったです。(男子高校生)
▼国旗国歌法、戦争反対をはじめ、民族団結や郷土愛をうたい文句にし、国民を、日本を戦争へと導いている政府を私は恥ずかしく思います。国民一人一人の力は小さいですが、団結し、助け合うことで大きなものが生まれるのだとわかりました。自由で平和な国であり続けられるよう、未来を担う若者の一人として励みます。今回の公演は実行委員である高校の先生から教えて頂いて見に来ました。このような活動があることは知らなかったので、とても有意義な体験をさせて頂き有難く思っています。今日の体験をきっかけに、戦争、歴史、世界について考え直してみようと思います。(18歳・女子高校生)
▼歴史を勉強している上で、有名な人物、名を知られている人たちの気持ちしか考えられていない自分に気づかされました。いろいろな戦いが起こっているなかで、農民や百姓がどんな思いでいたか、この劇を見て考えることができました。そして“高杉晋作”という名を知りながら、このような素晴らしい行動力を持った方だと初めてわかりました。高杉や奇兵隊、下関の人人、さまざまな人たちの命と志の上で今の平和な世があることを今一度、深く思い、心に刻むことができました。本当に見に来ることができてよかったです。高杉が白石に、日本を変えていかなければいけない熱い思いを話していた場面、胸が熱くなりました。米俵を運んできた女性に「これほどの米を集める苦労の気持ちがわからぬと思いますか」といった奇兵隊ならではの言葉に涙が落ちそうでした。(22歳・天理市・女性)
▼維新は日本において大きな革命だと思っています。革命の動力は「怒り」だと、私は考えてます。今日拝見させていただいて、全体を通し、その怒りの感情が本当によく伝わってきました。一人一人の感情が生き生きとしていて明治維新、幕末の世界観に引きずりこまれる思いでした。晋作が権力の大きい人に頼らず、自分の力、自分の仲間の力に頼って世の中を変えていくのだという言葉が印象に残っています。藩のみでなく、日本全体を考え、今まで考えられなかったような変革を成す人に相応しい、力強い言葉だと感じました。(23歳・堺市・女性)
▼三回目の鑑賞となりますが、見るたびに元気をもらっています。「働くものが食っていけない」とは現代に通じるものがあると思います。奇兵隊の人人は、自分たちの力で生活を、国を良くしようと一丸となって大きな力と戦いました。私たちも心を一つにして立ち向かえば希望も見えてくる。そんなふうに思わせてくれる劇だと思います。元気のない現代の人人にこそ見てもらいたい劇です。「親を捨て、子を捨て~維新あるのみ」のセリフと、その前後の場面。松陰先生の残した言葉も印象的でした。
(31歳・会社員・女性)
▼五〇万で連合艦隊に事をかまえ、圧倒的不利にも屈しない。ただひたすら志をつらぬく。僕もそうありたいと思います。印象に残ったセリフは、「苦しみを恐れて出来ることがあるか」。明日からも意地をはって生きていけます。(42歳・スポーツ指導者・男性)
▼高杉晋作が明治維新に果たした役割、また山口県民皆さんの思いなどが良くわかりました。はぐるま座が伝えようとした高杉像や、維新観を大切に、近世~近代史を考えていきたく思います。イギリスとの戦後賠償のシーンはなるほどと思いました。山口五〇万民衆の力を信頼してこそのセリフです。究極の住民自治が描かれていると感じました。(65歳・寺院関係・男性)
戦争政治を打開し地域を盛り立てる力に―大阪初演
(2015年4月)
クレオ大阪東(4/19) クレオ大阪中央(4/21)
『動けば雷電の如く―高杉晋作と明治維新革命』大阪公演が、クレオ大阪東(城東区・4月19日)、クレオ大阪中央(天王寺区・同21日)の2会場でおこなわれました。
大阪初演となった今回のとりくみでは、戦後70年を迎えるなかで、「世の中が戦争に向かっているとき、頑張らなければ」「本物の維新革命を大阪に広げよう!」「市場原理ではなく社会的利益でみんなが力を合わせ、地域や世の中を盛り立てていく力にしていきたい」と論議が発展。劇の内容への熱い共感とともに、現代の日本、大阪を重ね、戦争政治を打開していく力になる公演として、世代や業種を超え熱を帯びて広がった。また橋下市政を筆頭にした市場原理主義のまがい物“維新”とたたかう「本物の明治維新革命」を描いた劇として大阪府民に歓迎され、大きなうねりとなって響き合う公演となりました。
取り組みの中では、教育をめぐって大阪で先行しておこなわれている教育長の首長任命制に対して市民の反対世論が圧倒するなかで、教育長、教育委員長を辞任に追い込んだことが話題となり、政治と教育を直結の体制にすることへの強い問題意識が語られました。学校現場では、市立高校の民間校長が学校の伝統や子どもの教育を無視した教育を進めていることに、父母や教師のなかで激しい怒りが語られていること、そのなかで「どんな子どもを育てるのか」との意識と響き合い、観劇の呼びかけが広がりました。
また剣道や空手を通じて青少年教育に携わる指導者が共感し、道場での紙芝居会もあいついでおこなわれた。天王寺区の空手道場では四〇代の指導者が、「“仲間を大切にすること、自分の過ちを認めて良い所を伸ばす、礼儀を重んじ生活する”という心得と、劇で描かれていることが通じる」と語るなど、多くの青少年教育関係者に支持されたました。
港湾関係や生コン関係など、労働者のなかでも積極的なとりくみが進み、民間会社で働く労働者は、「前回の『原爆展物語』を観劇した際、市民と結びついた運動が労働運動の本当の姿だと思った」と当時の感動を語り、今回の公演についても、「明治維新に至る過程でさまざまな諦めや逆流が起こったとあったが、今もその小型版のような共通するものがある」とのべ、「自分たちと同じ方向で頑張っている劇団」との信頼のもと、誘い合って観劇しました。
また医療関係で働く男性が、「医療保険がどんどん削られ、安倍が暴走している。親が保険証を持っておらず、子どもたちが歯医者にも病院にもいけない家庭が増えている。こんな社会ではダメだ。劇の農民たちのセリフと重なるものがある。もうみんな我慢の限界にきているなかで、労働運動の道筋を示してくれるような劇だと思う」と語り、仲間に声をかけ観劇を呼びかけるなど、宣伝活動が活発化していきました。
さらに明治維新観をめぐって論議が発展。各地で、「明治維新後の戦争に突き進んでいったことについてはどう見るか」「橋下が喜ぶのではないか」などの問題意識が語られるなかで、世直しの原動力を担った高杉晋作率いる奇兵隊・庶民の側か、それとも維新後に明治の元勲となって奇兵隊士には血生臭い弾圧をやり、侵略に次ぐ侵略をやっていった側を維新と見るのかでまったく違うこと、こちらの舞台は、民族の独立と世直しをやっていった本物の明治維新を描いていると説明すると強く共感して歓迎され、「ありがとう」と立ち上がって礼をする人、熱を込めて観劇を呼びかける人など、深い信頼が広がりました。
表だってはいえない抑圧感もあるなかで、「最近“維新、維新”と騒いでいるが、自分は“維新”には反対の人間だ。今日実行委員会ニュースを読んで話がしたくなった」と劇団事務所に電話がかかったり、老人会長の男性が、「橋下市長はとくに老人会や子ども会の補助金をバッサリ切った。市交通局も300億円の黒字が出ているにもかかわらずさらにもうけようとし、大阪市の介護保険料は日本一高いことでも有名だ。老人憩いの家も使用料を徴収するようになり、老人会員に対しては無料だった大阪城や動物園の入場・入園料もとるようになるなどもってのほかだ。できるだけ多くの人の参加に結びつけたい」と語るなど、現状変革とかかわった論議が進んだ。戦時体制づくりのもとで、橋下市政を筆頭に市場原理主義がはびこるなか、抑圧感をはねのけ、下から市政を突き動かす運動と結びついた熱いとりくみとなりました。
現代重ね民衆の力と誇りに確信
両会場とも、開演に先立って実行委員の藤村彰宏氏(高校教員)が挨拶に立ち、「実行委員会には、さまざまな職種、意見、立場の者が集まり、劇の内容への理解を深め、意義について論議をおこない、人人の心に訴えるにはどうしたらよいかを話し合いながらとりくみをすすめてきた。高杉晋作の呼びかけによって奇兵隊が生まれ、彼らが中心となって長州藩が討幕へと固まっていった。この劇は幕末維新の社会変革のもっとも重要なところを切りとって、庶民の思いを凝縮した形で、劇の中に盛り込んでいる。教科書や学術書では知ることのできない、庶民が経験した歴史に触れることができる。そして、今現在“この時”を生きている意味を考え、先人の輝かしい業績を自信を持って受け止め、その苦労と努力に思いを馳せて欲しい」と呼びかけた。
開幕と同時に、客席では農民や町人の語りに耳を澄ませるように聞き入る姿が見られ、高杉と白石が奇兵隊創設を語り合う場面ではすすり泣く声も聞こえた。そして舞台の進行とともに客席と舞台は一体となり、終幕近く正義派諸隊が立ち上がり、俗論党との激しいたたかいのなか、米俵を持って農婦たちが支援に駆けつけるシーンでは最高潮に盛り上がっていき、終幕とともに鳴りやまぬ拍手が送られた。
ロビーでは見送りに出た俳優と握手を交わし、熱く交流する人人の列が続いた。初日の19日、クレオ大阪東では、感動と興奮がさめやらぬなか、会場ロビーで座談会がおこなわれました。
60代の高校教師は、「初めて観たが、民衆の描き方、米俵を持って来て証文を渡すところは感動した。今までの歴史の描き方をみると、幕府が正義派と俗論党を争わせていく残酷な場面、功山寺決起のギリギリの緊張感、高杉が悩みながら行動するところなどは描かれていないが、それが今回の舞台では描かれていた。テレビは突っ込みが足りない。はぐるま座がどんどん好きになっていく」と語った。
40代の労働者は、「『原爆展物語』もそうだったが、はぐるま座の劇は大衆の観点から描かれている。今回も民衆サイドから描いている。テレビなどは支配層の側の観点からだから描き方が違う。こういう描き方をするところはなく大変貴重だ。大衆の立場に立って物事を考えていくのは自分たちの労働運動と共通する」と思いをのべた。
京都から観劇に訪れた60代の女性は、「改作を重ねてきたと聞いたが、今の日本が描かれていると感じた。美しかったのは百姓の女たちの場面、米を運んできて証文を渡されるところでは涙が出た。今の社会が本当に戦争に向いそうな状況にあり、子どもたちにどんなことを残していけるのか、“絶対に阻止しないといけない”という思いを強くしているときでもあったので、大事なときに大切なことを教えられた」と感想を語った。
60代の労働者は、「時代背景や目的、また戦略や戦術は違うが、オール沖縄で米国に追随する日本政府とたたかっている沖縄の人人の姿とダブって見えた。弱者は一人一人は微力だが無力ではない。団結すれば勝てるということを教えられた」とのべた。
名古屋から訪れた70代の男性は、「テレビで『花燃ゆ』も見るが、その場その場では“そうなんだ”と感心もするが感動ではない。感動は10年、15年後にも残っているものだ。それだけ続くものが本当の感動であるし、この舞台からそのことを再確認した。名古屋から来たかいがあった。正しいことは全国に伝えるべきだ。頑張ってほしい」と激励した。
21日にクレオ大阪中央でおこなわれた夜公演のカーテンコールでは、会場から「頑張れ!」と声援が飛び、会場が喜びに満ちあふれた。終演後の見送りでは、労働者たちが感動の思いを語り、「労働者として団結して一緒に頑張りましょう!」と熱く語った。また「公演を観て今後の生き方が変わります!」と語る六〇代の夫婦、満面の笑顔で「すごくよかった!」と語る高校生たち、市内はもとより奈良、京都、三重、和歌山、名古屋、遠くは山口、沖縄などから駆けつけた人人の喜びの声が多数寄せられました。
また市内では、女性団体協議会の役員の女性が、「都構想の住民投票で揺れている今の時期によくやってくれた! 舞台を観ながら、今の大阪はこれではだめだ! 本当に高杉のような私利私欲でない人が大阪に必要と強く思った」と溢れるように語り、女性会としてもっと啓発してみんなで観なければと七月公演に向けて、引き続き実行委員として呼びかけを広げようと役員会でのPRを決定。老人会役員の男性は、「大阪にも演劇があり観に行くが、そんなのとは全く質が違う。テーマが深く素晴らしかった! 加えて熱のこもった演技が非常に印象的だった。ぜひ頑張ってほしい」と感動を語った。
アンケートより
▼旗幟鮮明な劇、ありがとう。志操堅固と覚悟を決めた生き方が肝心だと強く心をうちました。私も、少数ではありますが、仲間がいます。自分との闘い。微力ではあるが、無力ではありません。戦後70年、戦争回帰、格差拡大が進むなか、常に声を上げ続ける運動をやっています! 農民、商人全員が一緒になって大同団結することが重要です。ややもすれば、私利私欲、個人利益が優先のなか、決して諦めず、心を持って接することがいかに強いエネルギーになるか痛感しました。本当に心に残る劇作成ご苦労様でした。何よりも台詞大変ですね! 素晴しい! 共に闘いましょう! 応援します。(56歳・労働者)
▼幕府は現代の日本政府、藩は大企業と見ました。商人、農民は労働者と見ました。ピンチをチャンスにする。この闘いを現代の労働者は行なっていかなければなりません。この劇を見て、大変勇気が湧きました。 (労働者)
▼舞台の作りの入念さに驚きました。「熱血」の空間ありがとうございました。日本全国に火を付けて回って下さい。やがて燎原を焼き尽くすことになるでしょう。「それこそ、高杉さんの軍」。三月一五日の自動車パレードでの労働歌と演舞ありがとうございました。「背骨」の立った皆様の立ち姿をこれからも日本津々浦々で見させて頂けたら幸甚です。(65歳・労働者関係者)
▼すばらしかった。やる気と情熱! 組合活動にも活かしたいと感じた。(50歳・労働者)
▼大きなエネルギーを感じることのできる公演でした。今日の日本も内憂外患、同じ環境にあるように思えます。この公演を機に、在野の人人とともに立ち上がったように、われわれも今一度、日本のあり方を見つめ直すことが必要だと思いました。(印象に残ったのは)「弔わる人に入るべき身なりしに弔う人となるぞ恥ずかし」。場面が多いにもかかわらず、大道具の方をはじめ、きめ細かな舞台装置に関心しました。今後のご健闘をお祈りします。(無記名)
▼非常に誠実な舞台で好感が持てました。創設当初の劇団の理念や活動の姿勢を体現しているところも見受けられ、興味深く拝見いたしました。今後とも宜しくお願いいたします。(印象に残ったのは)最後の米俵の場面。(川西市・31歳・大学教官・男性)
▼役者一人一人の魂が伝わるような熱い芝居でした。舞台装置、小道具など精巧で素晴しかったです。現代日本に欠けている主張を見ることができました。高杉晋作が語った「男の一生は棺の蓋を閉めるまでわからない」という台詞が印象的でした。影ながら応援しております。またお手伝いもしますので、これからも頑張って下さい。(無記名)
▼迫力があってとても楽しかったです!! 私はあまり高杉のことを知らなかったのですが、とても強く、心やさしく、誇り高い人なのだと思い、今の日本人も見習わなければいけないと思いました。「親を捨て、子を捨て…」のセリフが、とても心にしみました。小学生高学年や中学生がこの劇をみる機会があれば良いなと思います。(天王寺区・33歳・女性)
▼高杉の強い行動力に感動した。現在の社会に必ず必要な物をみたようです。(豊中市・80歳・女性)
▼高杉晋作という人物像をあらためて知りました。この人物ありて、今の日本あり。一人の力ではどうにもならなかったところに、人民の力が結集していく勢いと、迫力のある演技はとてもすばらしかったです。
(四四歳・主婦)
▼現在の沖縄の状況とよく似ているように思います。政府はアメリカの顔色ばかり気にしている。沖縄も民衆の盛り上がりでここまできている。沖縄の民衆の盛り上がりを全国でも広げられたらいいと思う。オープニングの音楽はじめ、挿入音楽がすばらしかった。後半はとくに感動的でした。(印象に残ったのは)「百姓が耕すから武士も生きられる」。(岸和田市・64歳・女性)
▼とても良かった。農民が主役の革命であったということがよくわかった。現在は大阪維新の会など、維新のイメージを悪用している。できるだけ多くの人に見てもらって、本当の維新を理解してもらいたい。(印象に残ったのは)「侍どもは百姓が食わせている」現代社会と本質の部分は同じ。これからも、仲よくしてください。(旭区・47歳・労働者・男性)
▼今の日本は昔と違い、自分の意見を語るというのがないと思います。この劇を見て高杉さんはとても勇気があり、僕のなりたい人だと思いました。なので今の日本も高杉さんのような人物があらわれてほしいと強く思いました。「僕の命と引き替えに待ってくれませんか」というセリフが心に響きました。(17歳・男子高校生)
▼日本の未来を憂い、明治維新を成功させた高杉晋作の心情が迫るように伝わってきました。大義名分がなくなったことを、高杉晋作が良いこととはねつけたシーンが印象に残りました。(16歳・男子高校生)
▼今の安倍政府と多くの国民との関係が彷彿とします。沖縄にとどまらぬ私たちの本心は、表面をすくったような「選挙結果」とはまったく異なるのです。藩内、隊内の“逆流”も、大局から判断して、自らの力、人民との信頼関係に頼ってうち破る。四民平等をめざして! これは今にも通じますね。肝に銘じたいことです。(印象に残ったのは)「天皇や公家に頼って倒幕か!」。潮の流れ。「七〇人の隊士が動くのは五〇万領民に火をつけるため」。最後の句などで人民諸隊の、また高杉さんの慕われる理由がよくわかりました。百姓、その母、祖母の姿がすばらしい。(京都市・61歳・女性)
▼身分制度←→経済格差。日米通商条約←→日米地位協定、TPP。民族の独立←→アメリカへの従属。歴史は過去の出来事といえども、現在社会に活かされてこそ歴史だ。日米通商条約を日本の屈辱と考えた当時の指導者は改定に力をそそいだが、今の政府の売国的姿勢は恥ずかしい。(印象に残ったのは)「おもしろきこともなき世をおもしろく」「潮の流れには表層と深層とは流れが逆の場合がある。深層の潮の流れを読むことが重要だ」とのセリフ。(京都市・63歳・男性)
▼舞台美術が非常にきれいでした。転換も速いですし。高杉晋作の活躍がよくわかりました。逆境を動かすのは、まず一人の行動から。伝わるものがある舞台でした。(高校教員)
明治維新革命は日本の宝!―勇気をもらった
大分県中津市(2月24日)・国東市公演(2月28日)
大分県内で連続的に開催されている『動けば雷電の如く』公演が、2月二24日に中津市の中津文化会館で、同28日には国東市のアストくにさきでおこなわれました(主催/各地実行委員会)。両会場ともに小中学校の児童・生徒が友だちと誘い合って教職員や保護者とともに参観したのをはじめ、PTAや子ども会など教育関係者、民生委員児童委員や自治会役員など地域活動に携わる人たち、商業者、文化愛好家、また農業関係者が集団で観劇に訪れ、「現代の課題と重ねて観た」「自分たちも真の改革をやっていく力をもらった」「明治維新革命は日本の宝。この精神を生かす生き方が今後もほしい」と高揚感に包まれました。また、3月28日には津久見市民会館、同29日には宇佐市文化会館でも上演されました。
中津公演実行委員には、PTAや子ども会などの親世代が会の中心を担い、事前に他地域での公演を観劇した人人から、「今の混沌とした時代に火を灯すもの。中津でのとりくみを通じて高杉晋作のような若者が現出することを期待したい」「資本主義社会そのものが個人主義的な考え方なので、その体制そのものを変えていかないとダメだということに気づいた。自分さえよければ良いという考えを変えていくためにも、この劇を見ることが世の中を変えていく力になる」と学校や職場、地域にとりくみが広がりました。
また農業地域でもあり、「あまりにもアメリカに追随してきた結果、TPPをはじめ日本の農業を企業化し大規模農家だけが生き残る仕組みにして、地方の零細農家はますます生きていけなくなっている。自給自足できる国にしないといけない。戦争をやりたいという政治をこのまま任せていてはとんでもないことになる」と問題意識が語られ、精力的に観劇が訴えられ、地域づくりに関わる人たちからも、「東日本大震災の教訓から、日ごろから住民同士が助け合う精神が大切だ。観劇を通じて一層自分たちの力で地域を守っていくということに繋がる」と呼びかけが進められました。
中津会場では開演に先立って庄司貴之実行委員長(中津市PTA連合会会長)が挨拶。「この演目は、幕末激動の時代、欧米列強の植民地化の波に抗して民族の独立を守り、徳川幕藩体制を打ち倒して近代統一国家を打ち立てた高杉晋作と原動力となった農民・町人・商人の誇り高い生きざまを生き生きと描き出した作品」だと紹介。公演開催への協力に謝辞をのべるとともに、「この公演がみなさまのこれからの生活の糧となり、若いみなさんの指針となるように願っている」と呼びかけました。
国東会場で終演後におこなわれた感想交流会では、小学生や実行委員、来場者が約二〇人参加。口火をきった小学六年生の男子は、「高杉晋作がどんなふうに明治維新革命をやっていったか劇にしてあり、とてもよくわかった」と元気よく発言。子どもたちの感想に続いて農業関係者の男性は、「今、徳川幕府ならぬ“安倍幕府”が農業改革をやっていっる。口では農家の生産所得向上のためというが、やっていることは真反対。農協解体の動きもあるがTPPをするのにJAなどが反対運動をするので邪魔なのだろう。舞台を観て何度も涙が出た。一生懸命な姿に最後は涙した。本当の意味で生産者のためになる真の改革を、自分たちが中からもやっていかなければならないと思った」と語った。
別の農業関係者は、「高杉晋作の生き様を職場の若い人たちに観てもらいたいと強力に勧めて来てもらった。みんなとてもよかったという思いをもっていると思う」「このようにものづくりを通じて伝えることはすごく大切なことで、私たちもものづくりに携わる者としてひじょうに伝わるものがあった」と話した。
▼私は「動けば雷電の如く」をみて、高杉や百姓の人々の力強さにとても心を打たれました。たくさんの負担をかせられても決してあきらめずに戦い続け、最後には成功をつかんだ彼らのことを私は尊敬しています。彼らがいなければ今の日本はなかったのかもしれません。
そして、彼らの姿を堂々とした姿でハキハキと演じる役者の皆さんは本当に素晴らしかったです。精いっぱい演じたという気持ちが体全体に伝わってきました。私は彼らのような自信も強気もありません。しかし、今日の演劇を見て何事にもたくさん挑戦していこうと決意しました。卒業式の挨拶は彼らみたいに堂々として、これからの人生は辛いことがあっても笑顔を忘れず全力で生きていきたいです。今日は本当にありがとうございました。
(中学3年 女子)
▼若い高杉を中心に農民(民衆)が立ち上がり世直しに向かったことはすばらしい。明治維新革命は日本の宝。この精神を生かす生き方が今後もほしいものです。民衆、農民を中心にした生き方、セリフに感動。 (無記名)
▼臨場感あふれる場面の連続で時の経つのも忘れて舞台にひきこまれていました。背景も素晴らしかったですが、迫力ある熱演に心から拍手です。大きな時代の変革期に信念と情熱をもって命がけで戦った若者が多くいたことは、もっと多くの若い人達に知って欲しいです。戦闘のシーンはどれも手に汗を握りドキドキしながら見ていました。演技の勉強会をしたいという娘をつれてきました。とてもいい勉強をさせていただきました。ありがとうございました。 (無記名)
「明治維新革命の英傑に心動かされた!」
2015年『動けば雷電の如く』大分県内公演始まる(2015年2月)
1月31日 臼杵市野津公演 2月6日 臼杵市公演
臼杵市中央公民館(2月6日)
1月31日(土)午後1時半、臼杵市野津中央公民館、また2月6日(金)午後6時半から臼杵市中央公民館の2会場で『動けば雷電の如く』臼杵・野津公演が開催されました(主催『動けば雷電の如く』臼杵・野津公演実行委員会)。公演にはサッカー、野球のスポーツ少年団や詩吟教室などに所属する子どもたちが集団で参観したのをはじめ、醸造工場の従業員の方々、親世代のPTA、保母、教師など教育関係者、葉タバコ生産や花卉栽培に従事する青年農民などの農業者、漁業者、商業者、文化団体の各サークルの会員、グリーンツーリズム・農泊、歴史ガイドボランティア関係者、医療・福祉施設職員、公民館関係者、民生委員・児童委員、寺院・神社関係者など臼杵市内外から約五〇〇人が参加し、熱気に満ちた公演となりました。
野津会場では、午前中のうちからスポーツ少年団の子どもたちが開演を待ちきれぬ面持ちで公民館に到着。駐車場の誘導や受付などが実行委員会の分担できめ細かく行なわれ、心のこもった準備がすすめられました。
開演に先立って、吉良陽一郎氏(副実行委員長、南野津小学校PTA会長)が「この公演を過去の実際を見つめ直す有意義な時間にして欲しい」と挨拶。
臼杵会場では、小髙恵美子氏(臼杵市女性団体連絡会会長)が「今日の平和な日々の中で、ともすれば忘れがちな国を思いたたかい続けた日本人の勇気と心を、歴史を写し出すこの生の舞台を通して、感じて頂ければと思っております」と挨拶し開演。
両会場とも舞台が開幕すると、役者の語りや一挙手一投足、また舞台の転換に真剣な視線が注がれ、高杉晋作や奇兵隊士、彼らを支援した領民の心と客席が一つになって劇が進行しました。
劇の終盤、奇兵隊士から、「高杉晋作による功山寺決起は、まさに明治維新革命を決定づける最大の転換点になった」「そして薩長同盟が成立し、鳥羽伏見のたたかいから戊辰戦争をやり抜いて、ついに徳川幕府を武力で打倒・・・新しい近代統一国家をつくりだしました。まさに社会革命です」「そしてアジアで唯一、欧米列強の侵略を阻止し、民族の独立を守りぬいたのです」と語られると、会場一杯に大きな拍手が鳴り響きました。
そして、高杉晋作が維新革命の基本的条件が出来たことを見届け、享年29歳で永遠の眠りについたことが語られると、客席には深い哀惜の念が広がりました。舞台は「面白きこともなき世をおもしろく」「すみなすものは心な
りけり」の高杉晋作・辞世の句が力強く朗誦されると、熱い共感の拍手のうちに終幕しました。
終演後のロビーでは、「久しぶりに、こんないい劇を観させてもらい力になった」「この劇を全国でやっていったら、日本はかわる」と、見送りに出た劇団員と硬い握手が交わされ、熱い交流が続きました。
野津会場でおこなわれた劇団員を囲んでの座談会では、「高杉は、議論だけではなく、戦略的に行動して成功した。実行していったことが大きな成果を生んだと思う。このことを自分の生活のなかに生かしていきたい」(文化関係者)、「自分の仕事がら、みんなをまとめていく高杉のリーダーシップのとり方に感銘した」(保母)、「小学三年生の子どもたちまで、目をきらきらさせて観ていた。それほど感動したのだろう。舞台を観たことが何年後かに、きっと役に立っていく」(福祉施設職員)、「観ている人が釘付けで、ホールが一つになった。子どもたちも舞台を胸に打ち付けて、心に残してもらえると思った。この舞台を観た子どもたちは今後、はきはきと自分の意見を述べていけるようになるだろうと思う。同じ職場の人も観にきてくれたし、臼杵中央公民館での公演も観にいこうと声かけを広げていきたい」(PTA関係者)と語りあわれました。
臼杵市野津中央公民館(1月31日)
野津会場の終演後の様子
▼映画やテレビなどの映像を通して見るよりも舞台の上で演じてもらう方が迫力がありグッと迫るものがありました。この日本を救うために立ち上がった当時の若者たちの想いを引き継ぎ、現代人の私たちも我が祖国を繁栄させるため心をひとつにしようではありませんか!(福祉関係、女性)
▼最初はおぼうさんだったけど、と中で高杉晋作になって、最後かったのがよかった。じゅぎょうでやるより、くわしく色々わかってよかったです。と中と中の、説明もよかったと思います。(印象に残ったのは)武士もおそれず、じゅうをむける場面。(11歳・男子小学生)
▼幕末の動乱期を青年たちが決死の覚悟でたたかった。そして近代日本が開けたのである。幾多の若者の命の上に成立した。おそろしいまでも一途に貫いた若者にあらためて敬意を表します。長州に英傑が結集した。一人一人の声、かつ舌のよさ。すごみを感じました。(印象に残ったのは)「国のためなら命をすてる覚悟はできている」―涙が出ます。「日本の夜明けが見えて来たぞ」「死ぬことを恐れず」。学校の子どもにみせてほしい。(66歳 女性)
▼さすが! 世の中のために自分に何ができるのだろう、何かをしなければ! という高揚した気持ちにさせてくれました。ありがとうございます。このことを生徒達に語ろうと思います。(印象に残ったのは)士農工商の差別をなくし、平等な世の中にするんだと農民が起ち上がったこと。(55歳 女性)
▼動乱の時代、歴史を動かした人。その人についていった名も知らぬ人。その方たちが作ってくれた(?)時代から、今の私たちまで脈々と流れていった時代。テロ、殺人等、今の世の中暗い事も多々。高杉晋作さんが今、現在にいたらどう考え、行動するだろう等々、色んな事を考えました。印象に残ったセリフは「話して動かぬなら、行動して動かす」(女性)
沖縄県内学校公演に大きな反響(2014年12月)
▼すごく体が熱くなったのを感じました。時代の違いを衣装から、台詞から、舞台設定から…。ありとあらゆる点から伝わってきました。それこそ「雷電の如く」体中にビリビリと響いてきました。62年間続いていると聞き、「この劇団が続くわけだ」と納得しました。身振り手振りもすごく自然で違和感を感じることがありませんでした。私も高杉さんのように熱の灯った人生を送りたいと思います。今の日本、何かとごちゃごちゃしてますが、「はぐるま座」の皆様と世直ししたいと考えています。(1年男子)
▼今回の芸術鑑賞を通して、どんなに若かろうとどんなに弱い立場にいようと、強い意志を持って団結すれば、国をも動かす力になれるということを改めて感じた。この物語に出てきた高杉晋作は、24歳という若さで命を捨てる覚悟を持っていたというのが驚きだ。私は高杉晋作よりも若い。だから何もできないというのではなく、強い意志を持ち、正に「世直し」ができるような人間になれるよう、努力していく。(1年男子)
▼私が一番印象に残っていることは、高杉の時代を先取る力です。私がそれを感じたのは「開国し外国の犬となる」か「外国を排除する」という二択制だった時代に「外国からの進んだ技術を学び、外国と対等な関係にする」という新たな風を吹かせたというシーンを見たときです。高杉晋作のように「弱者の心を知るリーダー」というのは、これからどんなに技術が発展しようが必要とされる人材です。これは開邦高校が目指す人物像とも合致すると思うので、私もこんな人に一歩でも近づけるように頑張りたいと思います。(1年男子)
▼歴史の教科書に書かれていることだけで歴史を知った気になっていました。しかし今回の劇で、教科書にはないが、日本を変える大きな出来事があったのだと初めて知ることができました。私はこの劇を見る前では、「どうせドラマでよくあるお侍さんの話でしょ?」と軽く考えていました。しかしこの話は主に百姓が中心の話で、私の当初の予想を大きく裏切りました。この劇で、日本国民の真の強さというのを見ることができました。今の私には無い、日本の魂です。私も何事にも挑戦できるようになります。(1年男子)
▼今回の芸術鑑賞会を通して、作品の内容が勉強になったのはいうまでもありませんが、役者一人一人がとてもすごいなあと感じました。また野球部として片付けにも参加したが、役者さんたちが全員で片付けをしていて、準備もすべてその人たちでやったと知って、演技だけではなくそういう所までやって全国を回っていることはすごいと思った。また、作業中でも周りの人たちに気を使いながらしていたし、何より「ありがとう」という言葉が常に飛びかっていて、こういう集団は他にはないなあと感じた。本当に良い経験ができた作品でした。(2年男子)
▼舞台独特の迫力、空気に感動しました。農民・町人の人たちが自分たちよりもずっと強い幕府に立ち向かう勇気にも感動しました。最初から無理だといってあきらめがちですが、みなで力を合わせれば不可能なことはないと感じました。上の人にまかせっきりではなく、一人一人の力が国、世界を変えることにつながると思います。時代の流れに負けないようにガンバリたいと思います。(2年女子)
▼教科書では一瞬で流れてしまうような出来事にも、人人の熱い思いと行動があるのだと実感しました。為すべきことに、それこそ命をかける姿を見て、今度は自分の番だという闘志がわいてきました。(2年男子)
▼身分制度が確立されていた時代をマイクなしで熱演されていて、とても感動しました。その時代を生きた高杉晋作や、農民たちの姿が歴史の教科書の中の世界から飛び出してきたようでした。身分制度によって、自分の意見もいえなかった農民たちが、高杉晋作とともに幕府に立ち向かって、「自分たちが日本を変えるのだ!」という熱い思いを感じました。この上演を見て、私たちも、世の中を動かす政治のあり方を、ただ受け身でとらえて流されていくのではなく、積極的に関心をもって、自分の考えを主張していくべきだと思いました。将来を日本をつくっていく私たちが、昔の人たちのような「日本を変えたい」という熱い思いを受け継いで、生きていきたいと思います。(2年女子)
▼とても感動しました。一人一人が力強く演じていて、とても熱をもっている物語でした。幕末の江戸時代を高杉晋作にスポットをあてて進んでいったこの物語、若者が時代を作っていく様子や全員で力を合わせて大きな目標を成し遂げる様子が描かれていて、当時の高杉と同世代の私の心に強く響きました。今の日本と当時の日本を重ね合わせて、この日本を変えていくのは私たち学生なんだと強く実感しました。(2年女子)
劇団はぐるま座
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